シリカ系床材の共通点と相違点

床材は大別すると、シリカ系と石灰系に分かれます。これらの共通点と相違点について、そしてシリカに重点を置いて説明します。

石灰系とシリカ系の違い

となります。

従って、それぞれの床材に滑り止めを実施する場合は、施工溶剤の選定が基本(入り口)となります。
基本的に石灰系の床材はすべての酸に反応します。ただし、使用する酸に同じ反応をする訳ではありませんから、施工溶剤として使用する場合はそれなりの経験とノウハウが求められます。・・・以下省略。

シリカ系の基本は「フッ化物+酸」

シリカ系については、1つの基本があります。フッ化物+酸という単純な基本です。

いまだに類似業者さんはこの単純な基本の中で頑張っていらっしゃいます。故にもっと強くとか弱くとか、反応時間に神経を使うことになるわけです。

石灰系床材の組成構造、色彩、吸水性などは、成り立ちで各々変化があるのは当然で、その成り立ちを理解することが肝要です。それは困難であり、ある意味で時間と金を浪費することになりますが、これを克服しない限り次のステップ(段階)には進めません。

次に重要なのは、それぞれシリカ系床材の反応状態を知ることです。「フッ化物+酸」の単純な基本溶剤を塗ると過剰に反応し、シリカが露出し白っぽく仕上がってしまいます。滑りは十分に抑制されますが、タイル・石材表面の見た目の変化が激しく、また汚れも付きやすくなってしまいます。

シリカ系床材の共通点と相違点

シリカ系床材として、磁器タイル・セラミックタイル・花崗岩等を書き並べてみましたが、シリカの含有量についてはほぼ同レベルと考えて良いです。しかし、組成構造という点にはそれぞれに大きな違いがあります。シリカの含有量が同レベル?になる訳を、一般的な磁器タイルを製造する過程を書いてみます。

シリカ系床材の共通点

有田焼きの茶碗と唐津焼の茶器茶碗を使って、簡単に一例を説明します。

有田焼の基本原料は近隣で採れる花崗岩の一種です。石を粉砕し粘土を作ります。石だけでは粘土状にならないので澱粉など混ぜ合わせているようです。もともと花崗岩に含まれるシリカ成分は75%前後ですから、焼き上げた製品にはシリカの一部が溶けるので透明感が出てきます。当然、澱粉などは燃焼してしまいます。

 

唐津焼の原料は赤土が主となります。使う赤土のシリカ含有量は石の半分以下になるので、この状態で焼き上げるとほとんどが割れてしまいます。そのために、シリカ含有量の多い硅石や長石などの粉を赤土に補填し粘土をつくります。粘土をよくこねるのは空気を抜くためだけでなく、粘土のバラツキなくす意味もあるのです。

釉薬(シリカ成分)を使うのは隙間を埋めるためでもあります。

セラミックタイルは更に手が込んでまして、原料となる花崗岩を粉砕する前に1,200℃前後で先に焼きます。シリカ・アルミナ以外の不純物を除くことが目的のようです。事前焼結といいますが、その後微粉末にしアルミナを補填して粘土を作ります。この工程は有田焼の場合と類似しますが、その後2,000~3,000tな磁器タイルも同じような考え方で作られているのです。そこで共通点を見出すとすれば、シリカ・アルミナの含有量でしょうか。それぞにバラツキはあるにせよ、75~99%がこの2つの成分で構成されているのです。

では相違点ってなんでしょう?

シリカ系床材の相違点

シリカ系床材の相違点は、滑り止めを生業(プロ)とする皆さんには最も重要なテーマとなります。施工溶剤の選択・・・。

タイルを例に考えてみましょう。

施釉の可否、施釉量の相違、焼成温度、焼成回数、土にシリカ補填、陶石粉に粘生物補填、乾燥、加圧などなど、タイルを製造する材料や製造工程等の違いにより、それぞれに性格の違うタイルが誕生します。材料となる粘土の粒子構造、構成に相違が生じます。モースコード吸水率耐荷重性などの数字に相違が起きる要因はここにあります。

施釉タイルはタイルの表面にシリカ成分が集中し、無釉磨きのセラミックタイルはタイル自体がシリカ主体であると考えるべきです。しかも、セラミックタイルの粒子構成は極端な表現をすれば、超微粒子でほぼ同じような大きさ。相当量の加圧を経たうえで焼成されるので、より緻密な構造構成となります。

ユーザーニーズは計り知れないほど多いものですし、ニーズが多いほどリスクは拡大するものです。

施工溶剤の選択」の意味はここにあります。

それぞれに性格の違う石材やタイルには、それに準じた「適合した溶剤」があってしかるべきであり、溶剤に強い弱いといった表現は不適切なのです。