洗っても洗ってもヌメリが取れない現場

1日あたり1,000名を超える利用者がある大型のスーパー銭湯からご相談をいただいた際のことです。洗い場の床は御影石のバーナー仕上げで、防滑性の高い仕上げのはずでした。ところが実際に足を運んでみると、床全体にヌルヌル・ベタベタとした感触があり、明らかに危険な状態になっていました。

施設側に伺うと、日常清掃に加えて年に数回の定期洗浄も実施しており、決して管理を怠っていたわけではありません。それでもヌメリが解消されない——この「洗っても取れない」という現象こそが、今回のテーマです。

スーパー銭湯の洗い場の床
利用者数の多い施設ほど、洗い場の床には見えない汚れが蓄積しやすくなります

アルカリ洗剤・ポリッシャー洗浄をしても再発する理由

現地調査では、まずアルカリ洗剤を使ったポリッシャー洗浄を行いました。洗浄直後は確かに床のベタつきが取れ、石材本来のザラつきが戻ります。ところが数日、時には数時間のうちに、同じようなヌメリが再び現れてしまうのです。

この現象を理解する鍵は、汚れが「床の表面」ではなく「床の中」に蓄積しているという点にあります。バーナー仕上げの御影石は、表面に無数の微細な凹凸や目地の隙間があります。そこに利用者の皮脂や体から出る油分(動物性油脂)が、温水と一緒にしみ込むように入り込み、少しずつ蓄積していきます。

表面洗浄はこの凹凸の「表面」の汚れを落とすことはできても、隙間の奥に染み込んだ油脂までは届きません。そのため、洗浄後にわずかに残った油分が表面に滲み出てくると、再びヌメリとして感じられてしまうのです。

注意

洗浄直後にきれいでも、油脂が「床の中」に残っていれば再発する

表面のヌメリだけを落とす洗浄では、目地や微細な凹凸に蓄積した油脂そのものは除去できません。洗浄の頻度を増やしても、根本原因が解消されない限り同じ状態が繰り返されます。

気温によってヌメリの出方が変わる不思議な現象

さらに現場で興味深かったのは、ヌメリの感じ方が季節や気温によって変化することでした。気温が高く床が温まっている時間帯はヌメリが強く出やすく、逆に朝方など床が冷えている時間帯は比較的マシに感じられる、という声が施設スタッフから聞かれました。

これは、目地や微細孔に蓄積した油脂が温度によって状態を変えることに関係していると考えられます。油脂は温まると柔らかくなって表面ににじみ出しやすくなり、冷えると硬く締まって内部に留まろうとします。つまり「温めれば緩み、冷やせば固まる」という油脂の性質そのものが、ヌメリの出方の変化として体感されていたのです。

ポイント

ヌメリの正体は「皮脂・体脂肪」による目地・微細孔への蓄積

石鹸カスや温泉成分だけでなく、利用者の皮脂・体脂肪が温水とともに石材内部へ入り込み、蓄積することも大きな原因のひとつです。表面洗浄だけでは、この内部に蓄積した油脂までは除去できません。

洗浄だけでは解決しない理由と防滑施工の役割

今回のような現場では、洗浄方法をどれだけ工夫しても、油脂が蓄積した石材そのものの状態を変えない限り、ヌメリと滑りやすさは繰り返し発生してしまいます。日常清掃は衛生管理として非常に重要ですが、それだけで転倒事故のリスクをゼロにすることはできません。

S-LEAD JAPANのME工法では、現場ごとに石材の状態や汚れの蓄積具合を見極めた上で、オーダーメイドで調合した溶剤を使用します。石材表面にミクロレベルの防滑加工を施すことで、油脂が蓄積しやすい微細な凹凸の状態そのものにアプローチし、洗浄だけでは行き届かない部分まで対応します。

  • 現場ごとの調合:石材の種類や汚れの蓄積状態に応じて溶剤を調整
  • 美観を維持:石材本来の風合いを大きく変えずに防滑性を付与
  • 短時間施工:営業時間外の施工で、利用者への影響を最小限に
  • 施工後も通常清掃でOK:日常のメンテナンス方法を変える必要はない

まとめ:清掃の見直しと「床そのもの」への対策を両輪で

洗っても洗ってもヌメリが取れない場合、原因は洗浄方法そのものよりも、石材の目地や微細孔に蓄積した皮脂・体脂肪にあるケースが少なくありません。日常清掃を継続しつつ、床材自体の状態を変える防滑施工を組み合わせることで、初めて根本的な解決につながります。

「うちの施設もいくら洗ってもヌメリが取れない」という場合は、洗浄方法だけでなく、床材そのものの状態を一度専門業者に見てもらうことをおすすめします。