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水垢(みずあか)は、やかんボイラー、不適切な保守状況にある温水式セントラルヒーティング装置の内側などにみられる、硬くて灰色がかった、粉を吹いたような堆積物である。スケール(Scale)とも呼ばれる。硬水が蒸発するようなパイプの内側やその他の表面などにも同様の堆積物が見られることがある。

こうした水垢は、その生成の起源に応じてわずかに異なっている。

水を熱する装置などに堆積するタイプのものは、主要な成分は水から沈殿した石灰炭酸カルシウム)である。硬水はカルシウムマグネシウム炭酸水素塩や、その他の塩などを含んでいる。電気ケトルなどに堆積する石灰をライムスケール(石灰, Limescale)と呼ばれる。

水垢と呼ばれるが主成分は石灰なので、不衛生なものではない。酸に溶ける性質があるため、溜まった石灰鱗の除去はクエン酸が有効である。

炭酸水素カルシウム(炭酸水素塩)は水に溶けるが、70度を超えると炭酸塩に変化する。炭酸塩は水に溶けにくいため、水が熱される場所に堆積して現れる[1]。水が熱されると沸騰が局所的に集中するホットスポットが生じることがあり、炭酸塩がそこに集中して析出することがある。

硬水中のカルシウムの陽イオンは、普通は軟水に溶ける石鹸化合物を作ることもある(金属石鹸)。この化合物は、浴槽流し台排水管の内側などに薄い膜状に析出するカスになることがある。石鹸は中和した脂肪酸や類似した化合物などの陰イオンの塩を含んでいる。こうした陰イオンとカルシウムの塩は水にあまり溶けない。

空気で乾燥する調理用具や水の滴る蛇口、浴室のタイルなどに見られるタイプは、炭酸カルシウムと蒸発前の水に含まれているその他の塩の混合である。

継続的に硬水を流し続けている蛇口にも見られる。これは蛇口の内側を保護もするが、一方で成長して蛇口を塞いでしまうこともある。

 

 

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