防滑業界では、今でもこのような誤解があります。

  • 滑り止めなんて簡単そうだ。いや、簡単なはずだ。

    実は簡単ではなく奥が深い。

     十人十色と言いますが、床材も同じです。単に「滑りを止める」と言う目的だけなら施工溶剤は2種類もあれば十分事足ります。しかし、それではお客様は決して満足してはくれません。ロケーションの維持要請に始まり、長期に渡り十分な防滑性能維持の要請まで、当然の如く求められます。多くの経験とノウハウを持ち合わせた熟練者を擁した溶剤メーカー兼施工業者でなければ出来ない特殊性があるのです。

  • 簡単なメンテナンスで5〜10年は防滑効果を維持できる

    現場に沿った日常メンテナンスの取り組みで変わる。

     防滑施工後が安全対策のスタートです。付着している汚れのイロハに始まり、適正な洗剤の選択、洗剤の希釈調整(PH)、洗い方から流し方までを現場毎にマニュアル化。現場担当者とメンテナンス体勢を整え、PDCAを回すことで、はじめて効果維持ができます。

  • 一定の溶剤を希釈して、多種類の床の防滑に対応させている

    床材や環境、ニーズにより溶剤を変えないと対応できない。

     滑り止め施工溶剤は、現場に敷設されている床材、環境ごとに配合調整する必要があります。溶剤を水で希釈することではありません。適合とは、強い弱いではなく「ほぼピッタリ」を意味します。適合していれば、100平米でも1000平米でも関係なく塗っていけば良いわけです。タイムラグが何時間あっても塗り始めと終わりの床の仕上がりが同じものでなければ「適合溶剤」とは言えません。したがって、溶剤を使用する人間は、それなりにタイルを含む床材の組成、成分を熟知する必要があります。

  • CSR(摩擦係数値)の基準値を満たしているので、大丈夫。

    大丈夫ではありません。

     CSRは摩擦を数値化したもので滑り止めを数値化したものではありません。摩擦と滑りは違います。CSR値をクリアしていても滑るものは滑るし、クリアしていないくても、滑らないものは滑りません。滑る滑らないの絶対値は、人の官能(感覚)だけになります。CSRを絶対視するのではなく、まず床に乗って自分の感覚で確認することがもっとも重要になります。

  • 摩擦の大きい凹凸の床材なら、滑ることはない。

    滑ります。

     摩擦係数が大きいということは、汚れが付きやすく吸水性が高いことを意味しています。本来滑りにくいはずの床も、水、ホコリ、排ガス、砂利、油脂、体脂肪、残留洗剤などなどが床内の毛細管を塞き目詰まりを起こし、滑りを発生させる床に変貌していきます。

     このように、本当に床材や滑り止めを知る者は、多くないのが実情です。         以前より意識は変わりマーケットは拡大しましたが、残念ながら防滑業界はビジネスが先行しています。防滑は大事な対策なので、広めるためには良いことです。ただ、本来の目的である安全それが、良いものなら・・・。多くが本来の意味や使命を忘れているように感じます。