20年前の本磨きセラミックタイルは高級品だった
20年前の本磨きセラミックタイルと言えば、7,000円/㎡〜10,000円/㎡と大変高価なタイルでした。材料は粘土ではなく石を超微粉末にしたもので、メーカー各社の思惑により2,500〜5,000トンでプレスされ、1,280°Cを基本ベースとして焼成し、さらにダイヤモンドパッドで本磨きを施して製造されるのですから、高価なのは当然と言えます。
美しいものに魅力を持つのは万人共通。高級感・清潔感・メンテナンスが簡単というセールスポイントを軸に、大手コンビニエンスストアやパチンコ店が導入を開始しました。その後、ホテル業界、全国展開する大手スーパーへとマーケットは拡大していきます。
しかし、実はその間に磨きセラミックタイルも大きく変化していたのです。
2,500円/㎡を実現した「磨きセラミックタイル」の正体
高級感・清潔感があり美しいけれど高価格——そこに着目した中国メーカーが考えたのは、「見た目が同じであれば良い」という発想でした。
元々ある物に手を加えるとコストがかかりますが、初めからコストダウンを目的として製造すれば問題ありません。まず磁器タイルにセラミック部を圧着した2層式にして本磨きすることで単価を下げたのが1回目のコストダウン。そして2回目として、時間と材料コストのかかる本磨きを止め、シリコーン系樹脂コーティングを施すことで極端なコストダウンに成功。こうして2,500円/㎡が実現したのです。
Pタイルでも3,000円/㎡程度の初期コストがかかり、その後もワックス等のランニングコストが必要になることを考えれば、大型店舗に歓迎されたのは当然のことでした。そのシェアはさらに拡大していきました。
セラミックタイルの変化が防滑業界に与えた衝撃
このセラミックタイルの変化は、滑り止め業界にとっては大きな痛手となりました。
セラミックタイル専用の施工溶剤は2002年頃に開発し、2003年11月に国交省協賛の展示会で受賞した後もオープンにしていましたが、数年後に福岡の某洗剤メーカーが類似品を販売開始してから広く認知されるようになりました。
しかし近い将来、必ずシリコーン系樹脂コーティングによってセラミックタイルの流れが変わると考えていました。つまり時が来れば、当時の施工溶剤では防滑対応できなくなることを見越していました。
2021年に某洗剤メーカーがセラミックタイルから撤退したと聞き及び、それは当然の結果でした。世の中には真似できるものとできないものがあり、新しい分野は自ら模索するしか道がないのです。
防滑における隙間構成——ナノレベルの世界
本磨きセラミックタイルに構築する隙間は、仮定として20〜50ナノレベルの範囲であれば滑り止めの効果を発揮し、光沢もほぼ維持すると考察します。この程度であれば従来の製品でも施工は可能です。
問題は「本磨きと称される」セラミックタイルにあります。このタイプは大きく分けると施釉タイプとコーティングタイプの2種類があり、共に厄介ですが最も厄介なのがコーティングタイプです。シリコーンの含有量や塗膜厚の違いが防滑に大きく影響するのです。
足かけ10年の開発で完成した専用溶剤
セーフティグループの開発者が、足かけ10年でようやくシリコーン系樹脂コーティング済セラミックタイルの防滑専用溶剤を完成させました。
開発した溶剤のK-1を適切に使えば、1〜10ナノの隙間をシリコーン系樹脂コーティングに形成でき、本来は溶剤ですら通さないとされるシリコーン系樹脂コーティングですが、弊社の新商品はその塗膜に反応し、さらに塗膜を通過します。
塗膜が薄い場合の注意点
コーティングの塗膜が薄いタイルでは、タイルとコーティングの間に部分的に水分が残留する場合があります。コーティング剤は硬化する際に凝縮するため、タイルとの間に部分的に空間が発生し、その僅かな空間に水分が滞留してしまうのです。いずれは毛細管現象で蒸散して消滅しますが、施工前に事前の打ち合わせをしておくことが重要です。
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