既製品の滑り止め液剤で「失敗」が多発する理由

「滑り止め施工をしたのに効果がなかった」「施工後すぐに効果がなくなった」「美観が変わってしまった」——このような相談を、私たちは数多くいただいています。

その原因の多くは、既製品(市販品)の滑り止め液剤を使用していることにあります。類似業者のほとんどが、10数年前に出回った床材への適合が乏しい材料を使用しているのが現実です。

世の中の床材は数えきれないほどの種類があり、それぞれに性格や特性があります。もともと適合幅の少ない既製品の溶剤では、すべての床材に対応させることは不可能です。

既製品で失敗するよくあるケース

失敗事例

美観が損なわれる

床材の種類(吸水性、基本成分、組成構造、粒子形)に溶剤が「適合」していないため、床面が白濁・変色してしまう。一度変色した床材は元に戻すことが極めて困難で、最悪の場合は張り替えが必要になる。

失敗事例

効果がすぐに消える

床材に「適合」していない溶剤では、表面的な処理しかできないため、数週間〜数ヶ月で効果が消失する。適合した溶剤であれば通常3〜5年以上、最長約10年の効果維持が可能。

失敗事例

極端に汚れやすくなる

不適合な溶剤で床面を荒らしすぎると、微細な凹凸が大きくなりすぎて汚れが入り込みやすくなる。清掃コストが増加し、衛生面でも問題が生じる。

温泉・温浴施設こそ「オーダーメイド」が不可欠

既製品の限界が最も顕著に表れるのが、温泉・温浴施設です。温泉は施設ごとに泉質が全く異なり、含まれる成分やpH値によって床材への影響も大きく変わります。

温泉成分・pH値が防滑施工に与える影響

温泉には硫黄、鉄分、カルシウム、ナトリウム、炭酸水素塩など様々な成分が含まれています。これらの成分は床材の表面にスケール(温泉成分の付着物)を形成したり、逆に床材を化学的に侵食したりします。

重要ポイント

pH値によって溶剤の反応が全く異なる

酸性泉(pH3以下):泉質自体が強い酸性状態のため、通常の溶剤ではほとんど反応しない場合が多くある。酸性環境に適合した専用溶剤の調合が必須。

アルカリ性泉(pH8.5以上):アルカリ成分が床材表面にスケールを形成し、溶剤の浸透を妨げる。スケールの性質に応じた前処理と、それに適合する溶剤の調合が必要。

中性〜弱酸性泉:比較的施工しやすいが、含有するミネラル成分(鉄分、カルシウム等)の種類と濃度によって最適な溶剤は異なる。

同じ「温泉施設」であっても、泉質が違えば床材の状態も、最適な溶剤も全く異なります。ある温泉で効果が出た既製品の溶剤が、別の温泉では全く効果がない——これは温泉施設では日常的に起こりうることです。

温泉施設で既製品が失敗しやすい具体的な理由

  • 温泉成分のスケールが床材を覆い、溶剤が床材に浸透しない
  • 客数が非常に多く、汚れの蓄積が酷いため数か月で効果が低下する
  • 高温多湿環境で溶剤の反応速度が変化し、塗布時間の調整ができない既製品では均一な効果が出せない
  • 特有・または偏った温泉成分によって、汎用溶剤では効果が出ない
  • 汚れの蓄積量が把握できておらず、期待した効果を発揮できない

「この工法でしか対応できない現場」が数多く存在する

私たちが日々現場で実感しているのは、ME工法のオーダーメイド調合でなければ対応できない現場が数多く存在するという事実です。

鏡面セラミックタイル — 施工難易度 最高ランク

鏡面仕上げのセラミックタイルは、防滑業界で最も施工が難しいとされる床材です。表面が極めて緻密で、一般的な溶剤では浸透すらしません。かといって強い溶剤を使えば鏡面の美観が台無しになります。

ME工法では、鏡面セラミックタイル専用の溶剤をオーダーメイドで調合し、美観維持率99%以上基準を実現しながら確実な防滑効果を付与します。これは既製品の溶剤では不可能な施工です。

特有・または偏った温泉成分の浴場

温泉は施設ごとに泉質が全く異なり、硫黄・鉄分・カルシウムなどの含有成分やpH値も様々です。特有の温泉成分が床材表面にスケールを形成したり、強い酸性・アルカリ性が溶剤の反応を妨げたりするため、汎用の溶剤では十分な効果が得られません。その現場の泉質に適合した専用溶剤をオーダーメイドで調合することで、初めて確実な防滑効果を実現できます。

シリコーン系樹脂コーティングされたタイル

近年増加しているシリコーン系樹脂コーティングされたセラミックタイルは、コーティング層が溶剤の浸透を完全に遮断します。このコーティングを除去せずに防滑処理を施すには、コーティングの種類を正確に分析し、それに適合する専用溶剤を調合する必要があります。弊社では足かけ10年の開発期間を経て、この専用溶剤を完成させました。

その他、特殊な床材や現場環境

上記以外にも、ME工法でなければ対応が難しい現場は数多くあります。

  • 各種大理石の施工:大理石は産地や仕上げ方法によって成分・組成構造が全く異なり、酸に弱い性質を持つため、不適合な溶剤では光沢の喪失や変色など取り返しのつかないダメージを与えるリスクがある
  • 広範囲を短時間で施工しなければならない現場:ホテルや商業施設など営業時間外の限られた時間で施工を完了させる必要がある場合、既製品では塗布時間や反応時間のコントロールが難しく均一な効果が出せない。適合溶剤なら反応時間に左右されずスピーディーな施工が可能
  • 日常使用の洗剤やパック剤が影響している現場:施設で日常的に使用している洗剤やパック剤が床材表面に蓄積・浸透し、床材本来の性質を変化させている場合がある。既製品は床材の「素の状態」を前提としているため、こうした現場では効果が出ないことがある

なぜ「オーダーメイド調合」でなければならないのか

弊社では、その現場ごとの床材(種類、吸水性、基本成分、組成構造、粒子形の相違、環境等)に適合する溶剤を、その都度オーダーメイドで調合します。日本唯一のオーダーメイド溶剤メーカーグループだからこそ可能なことです。

ME工法の核心

「適合」とは、ほぼピッタリを意味する

「適合」とは、強いか弱いか、また希釈の問題ではありません。その現場に「適合」させることで、ピタッと止まり美観はそのまま。塗布時間や反応時間に左右されないので、均一の効果やスピーディーな施工を実現しています。

数10種類の基本溶剤をベースに、床材・現場環境によって調合・製造する。このカスタマイズ性を基本としているからこそ、タイルや石材など1,000種類以上の床材に対応でき、仕上げやコーティングの種類を合わせると数千種にのぼる床材への施工が可能になります。

既製品との決定的な違い

  • 既製品:1種類の溶剤をすべての床材に使用 → 適合する床材にしか効果が出ない
  • ME工法:現場ごとに最適な溶剤をオーダーメイド調合 → あらゆる床材・環境に適合
  • 既製品:塗布時間・反応時間のコントロールが困難 → 施工ムラが発生
  • ME工法:適合溶剤のため反応時間に左右されない → 均一な効果を実現
  • 既製品:美観維持が不安定 → 変色・白濁のリスクあり
  • ME工法:美観維持率95%以上基準(鏡面タイルでは99%以上基準)

まとめ:防滑施工は「溶剤の適合」がすべて

防滑施工の成否を分けるのは、施工技術だけではありません。その現場の床材に「適合」した溶剤を使用しているかどうか——これがすべてです。

特に温泉・温浴施設のように、温泉成分やpH値によって床材の状態が施設ごとに全く異なる現場では、既製品の溶剤で対応することは事実上不可能です。「滑り止め施工をしたのに効果がなかった」という経験をお持ちの施設管理者様は、溶剤の「適合」という観点から施工を見直してみてください。