転倒事故関連資料
□関係する法令 その1
2006年 バリアフリー新法が施行
○「バリアフリー新法は義務化であり、場合によっては罰則がある」
■第9条、建築基準法に基き、不特定多数が利用する建物への円滑化の促進と安全対策。
■第12条、視覚障害者が利用する箇所への円滑化の促進と安全対策。
■第9条又は12条を違反した場合300万円以下の罰則。
□関係する法令 その2 (公共空間、公共交通機関ではこちらが重要視されている)
高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律基本方針の全部改正告示
平成23年3月31日
(1)旅客施設 対象:鉄道駅、バスターミナル、旅客船、航空旅客ターミナル
1日3,000人以上利用する施設については、平成32年度までに、原則として全てについて移動等円滑化を実施する。
(2)車両等 対象:鉄道車両、バス、船舶、航空機
総車両数の70%に当たる車両について、平成32年度までに移動等円滑化を実施する。 *船舶は50% 航空機は90%
(3)道路 原則として重点整備地区内の主要な生活関連経路を構成する全ての道路について、平成32年度までに移動等円滑化を実施する。
(4)都市公園 都市公園の60%に当たる車両について、平成32年度までに移動等円滑化を実施する。
(5)建築物 2,000㎡以上の特別特定建築物の総ストックの約60%について、平成32年度までに移動等円滑化を実施する。
10年後を目処に高齢者、障害者等が日常生活又は社会生活において利用する施設について移動等円滑化基準への適合を義務付け
移動等円滑化とは・・・手すり、エレベーター、滑りにくい床材、階段の段差識別等、歩行が容易になるような対策を指す。
転倒事故は自己の不注意として片づけられる場合が多かったが、近年、管理者の責任が問われる場合が
多く判例でも厳しく責任を問われています。判例の中で施設管理者は床材を滑りにくくする義務があると厳しく指摘されています。
□転倒事故での責任追及
□責任追及順位
1.滑りやすいと分かっていた所有者
2.滑りやすいと気付いていた管理者
3.滑りやすい材質を使用した設計者
4.滑りやすい材質を販売した製造者
5.転倒した利用者
所有者責任が一番にきます!
□危機管理や防衛は万全ですか?
弁護士の見解
店舗や施設など管理者が床面の滑りやすい状態を確認し、張り紙で(足元が滑りやすいのでご注意下さい)などと注意した場合でも、
滑り止めなどの安全対策を施さないと、転倒事故が発生した場合、裁判の判例では店舗や施設側に不利な判決が出て、
支払い命令が生じる場合が殆どです。よって、バリアフリー新法が義務化になっている現在では、店舗・ビル・施設などの安全管理上、
滑り止めは避けては通れない安全対策です。
状 況 裁判所支払命令
コンビニ内での転倒事故 115万円の支払い命令
スポーツクラブ施設内の廊下での転倒事故 332万円の支払命令
ビル内での転倒事故 2,200万円の支払命令
○ ホテル大浴場の階段部分での転倒による損害賠償請求訴訟
○ 庁舎内にある職員食堂通路部分での転倒につき損害賠償請求訴訟
○ 民宿旅館の浴場での転倒による支払命令
○ 薬局店内で転倒事故による支払い請求
○ 歩行者が公共施設のグレーチングで転倒し損害賠償請求訴訟
※ 利用者が訴訟を起こすケースは増加傾向にあります。
またマスコミにより企業が失う信用の損失は図りきれません。
□ 転倒事故の判例結果
□ 安全対策が追いつかないワケ
→安全対策工事にはあらゆる制約があります。
安全対策工事の進まない大きな原因の一つとして、既存の建築物はさまざまな、生産活動をしているという事があります。
この生産活動を停止して工事を優先する事は大きな損失になるため、生産活動をしながら安全対策工事をしていくという
制約があります。 特にインフラと言われる 駅などの交通機関や公共性・商業性の高い建築物にとっては
作業条件・時間制約が厳しく限定されており安全対策工事のための改修期間・時間を確保することは非常に困難です。