床材の特性とメカニズム
防滑において最も重要な事は、敷設されたタイルの仕様目的に対し、違和感のない安全と安心を提供する事と、継続的なサポートの実施が基本であると考えます。
磁器タイルに滑り止め(防滑施工)を目的として構成する隙間は3~10㎛が適正な隙間だと思います。
10㎛以上の隙間を作ってしまうとタイル面全体が白っぽくなり、汚れを滞留させる大きな要因となります。(隙間を拡げすぎるとタイル表面に汚れが付きやすくなります。)
シリカ成分の溶かし過ぎですね。
ウチのはヨソより良く効きますとかよく耳にしますが・・・
要は、適正に安全が確保されれば良いのであって・・もっと効く、他所より効くは=タイルが汚れるを意味するだけです。
クリンカータイルの隙間形成は8~10㎛が適正であろうと思います。
テラコッタタイルの面白い所は、汚れを楽しむところにあると思います。
茶系のテラコッタタイルがキャンパスとなり、汚れが醸し出す模様にヨーロッパの風情を感じてしまうのですが・・・もちろん安全をキープするという事が前提ですが。
その為、防滑に使用するのは適正に3~5㎛の隙間を構成する溶剤が必要となります。
その他の磁器タイルについては施釉の状態、其々の吸水性等を勘案し溶剤を選択します。
水回り(浴場・プールサイド等)に敷設されている磁器タイルの防滑においては10㎛の隙間は必然です。前論を覆すようですが、場合によっては10㎛以上の隙間が必要になる事もあります。理由はタイル内に吸収され凝固した塩素系残留物や体脂肪の残留量との関係です。
更に厄介なのが温泉浴場の防滑でしょうね。
日本人皆様、大好き温泉浴場ですが・・・湧き出す鉱泉成分の構成によっては防滑溶剤が機能しない場合もあります。
例を幾つか上げると・・・
①遊離成分(非乖離成分)・・・メタケイ酸・メタホウ酸・メタ亜ヒ酸の合計又はどれか1つの成分含有量が温泉分析分量に対し、○○%を超えるとやばくなってきます。
②陰イオン(-イオン)・・・特に厄介なのが○○イオンと○○イオン等が温泉分析量に対し、○○%を超えているケースです。
磁器タイルの防滑と言うのは特殊なタイルや特殊な現場を除けば比較的に簡単なものです。・・・が、溶剤とタイルの相性を無視すればトラブルを招く結果となります。
タイル内部の隙間形成をネジとネジ穴を例えにしてみます。
5ミリのネジに5ミリのネジ穴は、適正ですね。
5ミリのネジは2ミリのネジ穴に入りませんよね。無理してねじ込むとネジ穴が壊れてしまうかネジが折れたりします。
逆に2ミリのネジに5ミリのネジ穴って事になるとスカスカで何の役にも立ちませんね。
要は2ミリの隙間で良いのに、それ以上に大きく広げると美観を損ね、必要以上にタイル表面の汚れを招く事になり、本当は5ミリの隙間がほしいのに2ミリしか隙間形成が出来ないと防滑効果が低減したり、床内部に滞留している汚れが思うように掻き出せなかったりと其々に支障が出る事です。
タイル、石が敷設されている場所・種類・目的・周りの環境などとの風合いなどを勘案し、適正な溶剤を選択し使用する事によりはとんど景観を変えずに適正に滑りを止めて安全を確保する事が非常に大切な事だと考えています。
必要以上に滑りを止めようとするとタイル・石が白っぽくなり、汚れも付きやすく景観も変わり掃除も
大変になります。