ゴルフカート事故多発 「セルフプレー」で増加か
転落防止柵などで対策急ぐ
各地のゴルフ場でカート事故が相次いでいる。8月に兵庫県で2人が死傷、9月には北海道で4人が重軽傷を負った。節約志向の高まりでキャディーを付けない「セルフプレー」が増え、注意喚起が行き届かないことなども背景にあるとみられる。ゴルフ場側は、安全利用のための講習会に参加したり、転落防止用の柵を設けたりするなど対策に乗り出している。
8月中旬、兵庫県三木市のライオンズカントリークラブ(CC)。2番ホールをラウンドしていた男性(65)=同県三田市=の運転するカートが、下り坂のカーブを曲がりきれず、斜面を転げ落ちた。男性は死亡、同乗者も軽傷を負った。
同ゴルフ場ではその4日後も別の軽傷事故が発生。9月上旬には北海道ニセコ町のゴルフ場で、坂を走行中のカートが木に衝突、乗っていた男女4人が重軽傷となった。
カート事故は全国で後を絶たない。ゴルフ専門誌を発行する「一季出版」(東京)が6月、カートを配備する全国のゴルフ場628カ所にアンケート調査したところ、事故が一例もないゴルフ場は約25%にとどまった。
原因として指摘されるのは、キャディーを付けない「セルフプレー」の増加。社団法人「日本ゴルフ場事業協会」(東京)によると、キャディー1人の費用は3千~5千円ほど。「不景気でセルフプレーが増えた」(広報担当者)という。
キャディーはコースの危険個所などを熟知し、注意喚起するが、セルフプレーでは本人がスコアカードを記入しながらの運転も目立つという。
ゴルフ場側は事故防止策に頭を悩ます。ライオンズCCは事故後、暫定的にカート転落防止の柵を現場に設置。さらに警告文を路面に表示したり、ポールをカート用通路の両脇に設けて、見た目の道幅を狭めて減速を促したりすることも検討中だ。
ゴルフ場支配人でつくる「西日本ゴルフ場支配人会連合会」(京都府城陽市)は7月にカートメーカーを招いた講習会を開催。事故例から安全利用のポイントを学んだ。永渕弘幸会長は「窓やドアで覆われた部分が少ないカートは事故被害が大きくなりやすい」と注意を呼びかけている。