リーガロイヤルホテル(大阪)浴場
平成28年6月
2回目の施工依頼となります。初回依頼されたのは確か平成16年だったかな?従って12年振り懐かしの現場に戻った様で不思議な感じでしたな。
我々が同じ現場に施工といったかたちで現場に入る事は過去なかったことです。12年も経ているから不思議ではないと思われるでしょうが・・・複雑な思いがありました。
メンテナンスマニュアルで、10年以上も安全をキープ
弊社は施工が終わると防滑効果を長く維持してもらうために、必ずメンテナンスマニュアルを提出してきました。平成11年から始めましたね。各現場に応じたメンテナンスのやり方があると思うからです。
リーガロイヤルホテル様にも提出してました。おそらくはキッチリ実施してくれていたと思います。10年以上もメンテナンスちゃんとやってくれて感謝してました。実は弊社の滑り止め溶剤「スリップアウト」を定期的に使用し、10年以上も安全をキープしてくれていたのです。
ホテルの方針変更による責任者の苦悩
2回目の施工で久しぶりに責任者O氏と再会。今回の施工に至った経緯について説明を受けある意味で納得しました。ホテル上層部(方針変更)の決定に従うしかなかったというのです。
O氏と共に浴場へ・・・現場を見て我が目を疑いましたよ。タイルが鈍く光を放っているではありませんか。浴場のヘリやタイル面の隅々に白いスケールが点在しています。
上層部の指示っていうのは次のとおり
- ホテル内で使用する洗剤についてはホテルが採用決定したものに限定する
- 業者による定期清掃は中止し、替わって日常的にスタッフが清掃を担当、実施すること
コスト削減と安心安全なものを使うという考え方だったのでしょうが、残念ながらそれでは現場は守れないのです。
何故守れないのか・・・その説明は施工終了の後で記したいと思います。
蓄積された体脂が溢れ出てヌルヌルの状態に
浴場施工については弊社独自の手法があります。
手順は次のとおり。
- 特殊溶剤塗布(一般に販売していないレベルの溶剤です)
- 二次溶剤塗布(特殊溶剤に重ね塗りしていきます)
- 中和洗浄(弊社のアルカリ洗剤使用。今回はpH11.7レベルにして使用)
- シャワー(温水)を使用し洗い流す
以上の手順で施工後、床面をチェックすると、床面がタイル内部から蓄積された体脂が溢れ出てヌルヌルの状態となりました。
プチ解説:なぜ体脂がタイルから溢れ出たのか?
原因はホテル方針変更によりこの2年間使ってきた洗剤の能力が低く、日々の体脂肪の除去がまったくできていなかったのです。
スタッフは毎日ポリッシャーがけを実施しておりました。そこでホテルが支給していたアルカリ洗剤を調べてみると、米国メーカーでpH10の洗剤で、スタッフは販売会社の指導でその洗剤を10倍希釈して使っていたようです。
実質使用していた洗剤はpH値は9となりますが、このレベルでは体脂肪(動植物性油脂)には歯が立ちません。
脂(油)というのは、必ず酸化します。しかも2年間床内部で酸化を続けた体脂肪ですから恐らくはpH6レベルまで酸化が進んでいると考えられます。
アルカリ性洗剤の使用理由は、脂肪を中和分解するのが目的のはずです。pH9レベルでは、ハッキリ言って”屁”の役にもたちませんな。