スーパーの床がぬれていて滑って右腕を骨折した…

Q 先日、スーパーに買い物に行った際に、床がぬれていて、滑って右腕を骨折しました。急いでいた自分の不注意もあるとは思うのですが、スーパーを経営する会社に対し、このけがの責任を追及できないでしょうか。

A スーパーを経営する会社に対して、あなたの被った損害につき、賠償請求をすることは可能だと思います。
裁判例にも、コンビニの床を、モップによるふき掃除のあと、からぶきをせずに放っておいたところ、顧客が滑って転倒し、左上腕部挫滅創(ざめつそう)の障害を負った事案について。会社には「急いで買い物をすることは当然の前提として顧客の安全を図る義務があり、店舗の床が通常よりぬれ、滑りやすい状態にあるときはからぶきをすべき義務があり、そのままの状態に放置した」ことは、「安全配慮義務・管理義務違反」に該当するとして、会社に対し、治療費や休業損害、慰謝料などを含めて115万円を被害者(顧客)に支払うように命じたものがあります。

賠償額について

Q 私の被った損害は全額認められるのでしょうか。

A それは、あなたが滑った原因があなたの方にもあるかどうかにより異なります。通常の急ぐ程度であれば、あなたには責任はなく全額の賠償が可能と考えますが、その他にあなたの方にも責められる点があれば会社に請求できるのは損害の一部になります。
先にあげた裁判例でも、被害者が両手に商品を持ち、靴底が滑りやすい靴を履いていたことが問題とされ、これが損害の発生・拡大に寄与したとして、被害者にも半分の過失があり、損害の50%を認めました。
なお、この裁判例の前審(一審)では、転倒して受傷したのは被害者自身の責任として被害者の請求が棄却されています。